東京ゼロエミ住宅の認証を取得するには?設計確認から完了検査まで解説

NEW 2026.11.05 東京ゼロエミ住宅

このコラムをざっくり解説

東京ゼロエミ住宅の認証を取得するには、設計段階で省エネ性能や断熱・設備仕様を確認し、登録認証審査機関による「設計確認審査」を受ける必要があります。設計確認書の交付後は、その内容に沿って施工し、工事中の写真や記録を残しながら、変更があれば必要な手続きを行います。完成後は「工事完了検査」を受け、設計確認どおりに施工されていることが確認されると認証書が交付されます。認証と助成金申請は別手続きのため、申請時期と必要書類を早めに整理しておくことが重要です。

東京ゼロエミ住宅の認証を取得するには、単純に省エネ計算をして基準を満たせば終わり、というわけではありません。設計段階で「設計確認審査」を受け、必要に応じて設計変更の手続きを行い、建物完成後には「工事完了検査」を受けます。この一連の手続きを終えて、最終的に東京ゼロエミ住宅認証書が交付されます。

弊社でも東京ゼロエミ住宅の計算や申請図書作成をご相談いただきますが、実務で特に注意したいのは申請を始めるタイミングです。断熱材や窓、設備仕様がかなり固まってから相談いただくと、計算結果によって仕様変更が必要になることがあります。また、工事を進めてから設計確認を取ろうとしても間に合わない場合があります。

この記事では、東京ゼロエミ住宅の認証を取得するために、設計段階で何を準備し、工事中に何を残し、完了検査までどう進めればよいのかを、実際の申請業務に近い流れで解説します。

東京ゼロエミ住宅の認証は「設計確認」と「完了検査」の2段階で考える

東京ゼロエミ住宅の認証手続きを初めて担当すると、BELSのように設計図書を提出して評価書を取得すれば終了するイメージを持たれることがあります。しかし、東京ゼロエミ住宅は設計段階だけで完結しません。

大きく分けると、最初に行うのが「設計確認審査」です。ここでは、これから建てる住宅が東京ゼロエミ住宅の認証要件を満たす設計になっているかを図面や計算書から確認します。基準への適合が確認されると「東京ゼロエミ住宅設計確認書」が交付されます。

その後、設計確認を受けた内容に基づいて施工し、完成後に「工事完了検査」を受けます。ここで、設計確認を受けた仕様どおりに実際の住宅が施工されていることが確認されれば、「東京ゼロエミ住宅認証書」が交付される流れです。東京都の要綱でも、完了検査では設計確認書等の内容どおり工事が行われているかを、現場での目視・計測や施工状況報告書、工事記録書などによって確認する仕組みになっています。

実務では、

設計 → 省エネ計算・仕様検討 → 設計確認審査 → 設計確認書交付 → 工事 → 必要に応じ設計変更 → 工事完了検査 → 認証書交付

という一連の流れとして考えておくと分かりやすいです。

最初に決めるのは東京ゼロエミ住宅の「水準」

現在の東京ゼロエミ住宅は、水準C・水準B・水準Aの3段階で構成されています。以前の水準1~3から制度が見直され、2024年10月以降は現在の水準A~Cへ再編されています。水準Cは比較的取り組みやすい水準、水準B、水準Aになるにつれて、より高い断熱性能・省エネルギー性能が求められます。

申請代行の立場から見ると、最初に水準を決めずに計算を始めるのはおすすめしていません。水準Aを狙うのか、水準Cでよいのかによって、断熱材、窓、設備などに求める性能が変わるからです。

例えば設計がほぼ完成してから「せっかくなので水準Aを取得したい」と変更すると、外皮計算をやり直し、窓性能を上げ、断熱仕様を変更し、場合によっては設備まで変更することがあります。その結果、建具表、矩計図、仕上表、見積もりまで修正になることがあります。

そのため弊社では、まず「どの水準を取得したいのか」を確認し、その水準から逆算して省エネ計算と仕様検討を進める方法をおすすめしています。

東京ゼロエミ住宅は太陽光発電などの再エネ設備も確認する

現在の東京ゼロエミ住宅では、断熱性能と設備の省エネルギー性能だけではなく、再生可能エネルギー利用設備の設置も認証要件に含まれています。一定の条件では太陽光発電設備等の設置が求められます。一方、屋根面積が狭小で物理的に設置が困難な住宅などについては例外規定があります。

ここも設計初期に確認しておきたいところです。建築計画がかなり進んでから太陽光発電設備の設置条件を確認すると、屋根形状や設備配置との調整が必要になる場合があります。

特に都市部の住宅では、屋根面積が小さい、斜線制限で屋根形状が複雑、設備スペースが少ないといった条件もあります。そのため「東京ゼロエミ住宅を取ることが決まったら、最後に太陽光を載せる」という順番ではなく、屋根計画の段階から再エネ設備を含めて考えておく方が進めやすくなります。

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設計確認審査は工事を始めてからでは遅い

東京ゼロエミ住宅の申請で、特に注意してほしいのが設計確認審査の時期です。

東京都の手引では、東京ゼロエミ住宅の設計確認審査は、認証事項に係る工事へ着手する前に申請する必要があります。申請書や設計図書を認証審査機関へ提出し、認証要件への適合が確認されると設計確認書が交付されます。

また、東京ゼロエミ住宅の助成金を利用する場合にも注意が必要です。令和8年度の助成制度では、助成金申請に東京ゼロエミ住宅設計確認書、設計確認審査申請書の写し、提出図書一式の写しなどが必要とされています。
そのため、着工予定日から逆算して設計確認審査を進める必要があります。

弊社へご相談いただく場合も、「来週着工予定なので東京ゼロエミ住宅を取りたい」という段階だと、かなり厳しいスケジュールになることがあります。省エネ計算だけでなく、図面との整合確認、申請書類作成、認証審査機関の審査期間も必要になるためです。

可能であれば実施設計中、遅くとも断熱材やサッシなどの認証に関係する工事へ入る前に十分な時間を取って動くことをおすすめします。

設計確認審査では何を提出するのか

設計確認審査では、「東京ゼロエミ住宅設計確認審査申請書」と、認証要件への適合を確認するための図書を認証審査機関へ提出します。2026年4月1日以降に設計確認審査を申請する場合は、令和8年4月1日施行の改正後の様式を使用します。

実際に準備する内容は住宅の種類や評価方法によって変わりますが、弊社で申請準備を行う場合は、まず配置図、平面図、立面図、断面図・矩計図、建具表、仕上表などから断熱・開口部の仕様を確認します。

そこから外皮性能や一次エネルギー消費量を確認し、必要に応じて断熱材、窓、冷暖房、換気、給湯などの設備資料を揃えていきます。太陽光発電設備を設置する場合は、その計画内容についても確認します。
設計士の方から「図面を一式送れば申請できますか」と聞かれることがありますが、建築確認申請用の図面だけでは省エネ計算に必要な性能値が読み取れないこともあります。

例えば建具表に「アルミ樹脂複合サッシ」としか記載されていなければ、計算に必要な熱貫流率などを確定できない場合があります。給湯設備についても「エコキュート」とだけ書いてあればよいわけではなく、計算条件によっては具体的な性能情報が必要です。

申請代行をスムーズに進めるには、図面だけでなく、計算に使う断熱材・窓・設備の仕様まで早めにまとめておくことが重要です。

設計確認で一番時間がかかるのは「図面との整合確認」

実際の申請業務で意外と時間がかかるのが、計算そのものではなく図面との整合確認です。

例えば外皮計算では断熱材105mmを使用しているのに矩計図では100mm、計算では高性能なサッシを使っているのに建具表では旧仕様、一次エネルギー消費量計算では新しい給湯器を使用しているのに設備表では変更前の型番、ということがあります。
計算だけを見れば東京ゼロエミ住宅の基準を満たしていても、図面からその仕様が確認できなければ審査で質疑が入ります。

そのため弊社では、計算が終わった段階で「基準をクリアしました」で終わらせず、計算条件と提出図面が一致しているかを確認することを重視しています。
東京ゼロエミ住宅は、性能の高い住宅を計算上つくればよい制度ではありません。その性能で設計し、その仕様で施工するところまで確認される制度です。ここを理解しておくと、完了検査までかなり進めやすくなります。

設計確認書が出たら、その内容を現場まで共有する

設計確認審査が終わり、設計確認書が交付されたら、次に重要になるのが施工側への情報共有です。
ここでありがちなのが、設計担当者と省エネ計算担当者だけが東京ゼロエミ住宅の仕様を把握しており、現場監督や施工会社には通常の設計図しか渡っていないケースです。

例えば認証上重要な断熱材、サッシ、給湯器、換気設備などが現場判断で「いつもの商品」に変わってしまうと、設計確認時の内容と実際の施工内容が一致しなくなります。

東京ゼロエミ住宅を進める場合は、設計確認書が出た段階で、認証に関係する仕様を現場へ共有しておくことをおすすめしています。

特に代替品へ変更しやすい設備機器や建材については、「変更前に設計担当へ確認する」というルールを決めておくだけでもかなり違います。

工事中の写真や資料を残しておきましょう

東京ゼロエミ住宅は完成時に工事完了検査があります。そのため、完成すると見えなくなる部分については施工中の記録が重要になります。

東京都の要綱では、工事完了検査の際、認証事項が認証要件に適合していることを証明する「工事記録書」を現場に備え付けることとされています。また、完了検査では施工状況報告書や工事記録書などを使用して、設計確認書等の内容どおり施工されているか確認します。

断熱材などは壁を仕上げてしまえば確認できません。そのため施工中に写真を撮り、使用した材料の仕様が分かる資料を残しておくことが大切です。

実際の申請では認証審査機関によって施工状況報告書等の様式を定めている場合もあります。東京都も、参考様式とは別に各認証審査機関が独自の様式を定めている場合があるため、申請先へ確認するよう案内しています。

現場が完成してから「断熱材の施工写真がありません」となると確認に時間がかかります。設計確認を申請する段階で、完了検査に何を残す必要があるかまで確認しておくのが安全です。

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工事中に仕様を変更したら、そのまま進めない

住宅工事では、設計どおりにすべての設備や材料が入るとは限りません。納期や価格の都合でサッシ、断熱材、エアコン、給湯器、太陽光発電設備などを変更することがあります。

東京ゼロエミ住宅の場合、その変更が認証内容へ影響するかを確認する必要があります。
変更内容によっては「東京ゼロエミ住宅設計変更確認審査申請書」を提出して、設計変更確認審査を受ける必要があります。現在の制度でも設計変更確認審査用の正式な申請様式が用意されています。

ここで一番避けたいのは、現場ではすでに変更して施工しているのに、申請担当者へ情報が来ていない状態です。
設備会社が「同等品なので問題ありません」と判断した商品でも、省エネ計算上の性能値まで完全に同じとは限りません。

東京ゼロエミ住宅の案件では、認証に関係する建材・設備を変更するときに、

変更 → 施工 → 後で申請担当へ連絡

ではなく、

変更予定 → 認証への影響確認 → 必要な手続き → 施工

という順番にしておくと安全です。

工事完了後は東京ゼロエミ住宅の完了検査を申請する

住宅が完成したら「東京ゼロエミ住宅工事完了検査申請書」を認証審査機関へ提出し、工事完了検査を受けます。

ここで確認されるのは、単純に住宅が完成しているかではありません。設計確認書や設計変更確認書などに記載された内容どおりに工事が行われているかが確認されます。

認証審査機関は、現場を目視・計測するとともに、工事完了検査申請書、施工状況報告書、工事記録書などを用いて適合状況を確認します。検査の結果、設計確認内容どおりに施工されていることが確認されれば、東京ゼロエミ住宅認証書が交付されます。

ここまで来て初めて、「設計上、東京ゼロエミ住宅だった」から「実際に東京ゼロエミ住宅として認証された住宅」になります。

設計確認書と認証書は名前が似ていますが、意味は違います。

書類交付されるタイミング確認している内容
東京ゼロエミ住宅設計確認書工事前設計内容が認証基準を満たしている
東京ゼロエミ住宅認証書工事完了後設計確認内容どおりに施工されている

東京ゼロエミ住宅の認証を取得するのであれば、最初から認証書交付までを一つの工程として考えることが大切です。

建築確認の完了検査と東京ゼロエミ住宅の完了検査は別です

ここは初めて東京ゼロエミ住宅を担当する方が混同しやすいところです。
建築基準法に基づく建築確認の完了検査と、東京ゼロエミ住宅認証制度の工事完了検査は別の手続きです。

建築確認の完了検査を受けたから、自動的に東京ゼロエミ住宅の認証が取れるわけではありません。東京ゼロエミ住宅については、登録認証審査機関へ別途工事完了検査を申請し、認証要件について確認してもらう必要があります。

東京都では登録認証審査機関を公開しており、それぞれ設計確認審査、設計変更確認審査、工事完了検査を行っています。

建築確認、省エネ計算、東京ゼロエミ住宅の認証、助成金申請を同時に進める案件では、どの機関へ何を提出するのかを工程表にしておくと整理しやすくなります。

東京ゼロエミ住宅の「認証」と「助成金」も別の手続き

もう一つ、実務でよく混同されるのが認証と助成金です。

東京ゼロエミ住宅は、住宅が基準を満たしていることを確認する「認証手続」と、助成金の交付条件を満たしているか確認する「助成手続」が別にあります。東京都も、両方の手続きが必要であり、それぞれ期限が設定されていることを案内しています。各手続きは第三者への代行も可能です。

つまり、

「東京ゼロエミ住宅の認証を取った=自動的に助成金が振り込まれる」

という仕組みではありません。
令和8年度の助成金についてはクール・ネット東京が受付を行っています。助成申請では設計確認書など認証関係の資料も使用するため、認証手続と助成申請のスケジュールを一緒に管理することが重要です。

弊社へご相談いただく際も、東京ゼロエミ住宅の「認証取得をしたい」のか、「助成金申請まで含めて進めたい」のかを最初に整理していただくと、必要な作業を確認しやすくなります。

東京ゼロエミ住宅の申請はどのタイミングで代行会社へ相談する?

弊社としては、できれば確認申請直前ではなく、実施設計の途中でご相談いただくのがおすすめです。

東京ゼロエミ住宅では、断熱性能、省エネ設備、再エネ設備など複数の条件を確認します。そのため設計が完全に固まった後で基準不足が分かると、修正する範囲が広くなります。

平面・立面・断面がおおむね決まり、断熱材やサッシの方向性が決まった段階で一度計算しておけば、「このまま水準Cで進められる」「水準Bにするなら窓を変えた方がよい」「水準Aを狙うならこの部分をもう少し上げる必要がある」といった判断ができます。

計算結果を見ながら仕様を決め、その仕様を建築図面へ反映し、設計確認へ進む。この順番の方が、設計確認後に図面を戻す可能性を減らせます。

東京ゼロエミ住宅の認証取得で一番大切なのは「最初から完了検査を見ておくこと」

東京ゼロエミ住宅の申請というと、どうしても最初の設計確認に意識が向きます。しかし、実際に代行業務をしている立場から見ると、申請をスムーズに終わらせるポイントは、最初から工事完了検査まで考えておくことです。

設計確認で使った仕様を現場へ共有する。施工中に必要な写真や資料を残す。設備変更があれば施工前に確認する。設計変更が必要なら適切なタイミングで手続きをする。そして最後に、設計確認書と実際の施工内容を合わせて完了検査へ進む。

この流れが最初から整理されていれば、東京ゼロエミ住宅の申請はそれほど複雑ではありません。

反対に、計算担当、設計担当、現場担当がそれぞれ別々に動いてしまうと、完成直前になって「申請した設備と違う」「施工写真がない」「断熱仕様が変更されている」といった問題が起きます。

東京ゼロエミ住宅は、計算を通すことより、設計・申請・施工を最後まで同じ仕様でつなぐことが重要な制度です。

東京ゼロエミ住宅の省エネ計算・申請代行をご相談ください

東京ゼロエミ住宅の認証を取得したいものの、「水準A・B・Cのどれを選べばよいか分からない」「現在の設計仕様で基準を満たしているか確認したい」「省エネ計算だけお願いしたい」「設計確認用の申請図書まで作ってほしい」といったご相談も受け付けています。

当センターでは、東京ゼロエミ住宅の省エネ計算から、基準を満たすための仕様検討、設計確認に必要な申請図書の作成まで、現在の設計状況に合わせて対応しています。すでに実施設計が進んでいる案件でも、現在の図面や仕様を確認したうえで、どこまで対応が必要か整理できます。

東京ゼロエミ住宅は、申請時期が遅くなるほど設計変更や工事スケジュールへの影響が大きくなります。「まだ申請するか決まっていない」「とりあえず現在の仕様で水準A・B・Cのどこまで狙えるか確認したい」という段階でも問題ありません。 図面がある程度まとまった時点で、まずは東京ゼロエミ住宅の省エネ計算・申請代行についてお気軽にご相談ください。
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