東京ゼロエミ住宅「水準B」の基準とは?水準A・Cとの違いも解説

NEW 2026.10.23 東京ゼロエミ住宅

このコラムをざっくり解説

東京ゼロエミ住宅の「水準B」は、水準A・B・Cの3段階のうち中間に位置する基準です。2026年時点では、戸建住宅・集合住宅等ともにUA値0.46以下が必要で、設備の省エネ性能は戸建住宅でBEI_ZE0.60以下、集合住宅等で0.65以下が求められます。水準Cより高い断熱・省エネ性能が必要ですが、水準AのUA値0.35以下ほどハードルは高くありません。ただし、水準Bは仕様だけで適合を判断することはできず、実際の建物ごとに省エネ計算が必要です。弊社では、水準A・B・Cで迷っている場合、まず現在の設計仕様で計算し、どの水準まで無理なく狙えるか確認してから仕様を決める方法をおすすめしています。

東京ゼロエミ住宅「水準B」は3段階の中間にあたる基準

現在の東京ゼロエミ住宅は、水準C・水準B・水準Aの3段階に分かれています。水準Cが基本となる水準、水準Aが最も高い水準で、その中間に位置するのが水準Bです。
現在の水準区分は2024年10月の制度改正によって設けられました。それ以前の水準1~3が見直され、水準1・2を水準Cへ統合、従来の高位基準だった水準3を水準Bとし、さらにそれを上回る新しい基準として水準Aが設定されています。

弊社へご相談いただく案件でも、「水準Cではなく、できればもう少し性能を上げたい」「水準Aまで上げると仕様やコストへの影響が大きい」という場合に、水準Bを検討するケースがあります。
ただし、水準Bは水準Cの仕様を少し上げれば自動的に取得できるものではありません。UA値と一次エネルギー消費性能の両方について性能計算を行い、基準を満たしていることを確認する必要があります。

水準BのUA値は0.46以下

まず設計者が押さえておきたいのが断熱性能です。東京ゼロエミ住宅の水準Bでは、戸建住宅・集合住宅等ともにUA値0.46W/㎡・K以下が求められます。水準Cは0.60以下、水準Aは0.35以下です。

水準UA値戸建住宅のBEI_ZE集合住宅等のBEI_ZE
水準A0.35以下0.55以下0.60以下
水準B0.46以下0.60以下0.65以下
水準C0.60以下0.70以下0.70以下

この表を見ると、水準Bは水準Cより一段高い断熱性能を求めながら、水準Aほど厳しくないことが分かります。

設計実務では、このUA値0.46が一つの大きな判断材料になります。現在予定している断熱材・サッシ・玄関ドアなどで計算した結果がUA値0.48程度であれば、窓や断熱仕様を一部調整することで水準Bが見えてくることがあります。一方、現在の仕様がUA値0.58程度であれば、複数の部位を見直す必要が出てくる場合があります。

そのため、「水準Bを取りたいから最初からすべて高性能仕様にする」というより、まず現在の設計仕様でUA値を出し、どこを変えるのが効率的か確認する方が進めやすくなります。

UA値0.46を満たすには窓と断熱をセットで考える

水準Bを検討する際に、設計への影響が比較的大きいのが開口部です。UA値は外壁、屋根・天井、床・基礎、窓、玄関ドアなど外皮全体から逃げる熱量をもとに算定するため、断熱材だけを厚くすれば必ず0.46以下になるわけではありません。

特に窓面積が大きい住宅では、サッシやガラスの性能がUA値へかなり影響します。断熱材の性能を上げても、開口部からの熱損失が大きければ思ったほどUA値が下がらないことがあります。

弊社で水準Bの検討を行う際も、外皮計算結果を見ながら、外壁や天井の断熱を強化するのか、窓性能を上げるのか、それぞれの変更によってUA値がどの程度変わるかを確認します。

設計者としては、意匠を犠牲にして窓を小さくするという考え方ではなく、「この大きさの窓を残すなら、どの程度の性能が必要か」という順番で考える方が現実的です。平面・立面がおおむね固まり、開口部の大きさが見えてきた段階で一度外皮計算をしておけば、実施設計後半で大きく仕様を戻すリスクを減らせます。

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水準Bは戸建住宅でBEI_ZE0.60以下が必要

水準Bで注意したいのは、UA値0.46以下だけを満たせばよいわけではないことです。設備を含めた一次エネルギー消費性能についても基準があります。

戸建住宅ではBEI_ZE0.60以下、集合住宅等ではBEI_ZE0.65以下が水準Bの基準です。水準Cは戸建・集合住宅等ともに0.70以下、水準Aでは戸建住宅0.55以下、集合住宅等0.60以下となります。

つまり戸建住宅の水準Bでは、省エネルギー基準に対して40%削減できる設備性能が一つの目安になります。
ここで関係してくるのが、暖冷房、換気、給湯、照明などです。UA値が0.46以下になっていても、設備条件によってBEI_ZE0.60を超えてしまえば水準Bには適合できません。

実際の計算では、「断熱性能は十分なのに一次エネルギー側が少し届かない」ということがあります。その場合は、どの設備が一次エネルギー消費量へ影響しているかを確認し、給湯器や空調、換気設備などを調整していきます。

太陽光を載せればBEI_ZE0.60になる、という計算ではない

東京ゼロエミ住宅を設計するときに、特に間違えやすいのが太陽光発電とBEI_ZEの関係です。
東京ゼロエミ住宅で使用するBEI_ZEでは、太陽光発電設備によるエネルギー削減分を算入しません。つまり、住宅そのものの断熱性能と設備の省エネ性能で基準を満たす必要があります。

一方で、現在の東京ゼロエミ住宅では、太陽光発電設備などの再生可能エネルギー利用設備について、物理的に設置が難しい住宅などを除き、原則設置が認証要件になっています。2026年4月からは設置要件の文言が一部改正されていますが、再エネ設備を認証要件とする制度の考え方は継続しています。

そのため、水準Bを設計するときは、「太陽光を載せて省エネ性能をクリアする」のではなく、まず外皮と設備でUA値・BEI_ZEを満たし、そのうえで再エネ設備の要件も確認するという流れになります。

水準Bと水準Cの一番大きな違いは「計算が必須になる」こと

水準Bと水準Cを比較したとき、単純な数値以外にも大きな違いがあります。
水準Cには、一定の断熱材や設備仕様を採用することで基準への適合を確認できる「仕様規定」が用意されています。性能計算を行って水準Cへ適合させることもできますが、条件が合えば仕様規定を利用できます。

一方、水準Aと水準Bについては仕様規定がありません。東京都も、水準A・Bは性能規定のみとしています。つまり実際の建物について外皮計算と一次エネルギー消費量計算を行い、UA値とBEI_ZEの両方が基準を満たしていることを確認する必要があります。

ここは設計工程にも影響します。水準Cで仕様規定を利用する案件なら、決められた仕様に沿って設計する方法がありますが、水準Bでは建物形状、窓面積、断熱仕様、設備仕様などによって計算結果が変わります。

「標準仕様が水準B仕様だから大丈夫」と思っていても、住宅ごとに開口部や形状が違えばUA値は変わります。そのため水準Bを標準化したい工務店であっても、案件ごとの計算は必要になります。

水準Bと水準Aの差はUA値だけではない

水準Bから水準Aへ上げる場合、UA値は0.46以下から0.35以下へ、戸建住宅のBEI_ZEは0.60以下から0.55以下へ上げる必要があります。

数字だけを見るとBEI_ZEは0.05の差ですが、実際の設計ではこの差を詰めるために設備仕様を見直す必要が出ることがあります。また、UA値0.46から0.35への変更は、住宅によっては断熱材だけでは対応できず、サッシや玄関ドアなど開口部まで含めた見直しが必要になります。

そのため、水準Bで十分なのか、水準Aまで狙うのかは、設計終盤ではなく比較的早い段階で決めておくことをおすすめしています。

例えば現在の計算結果がUA値0.38、BEI_ZE0.57であれば、水準Bは十分クリアしており、少し仕様を調整することで水準Aも検討できます。一方、UA値0.45、BEI_ZE0.60付近で水準Bを満たしている住宅を水準Aへ引き上げる場合は、複数の仕様変更が必要になる可能性があります。

水準の選択は「Aの方が上だからAを選ぶ」というより、追加コスト、住宅性能、助成制度、設計変更の範囲を見ながら判断した方が現実的です。

水準Bは「性能と仕様変更のバランス」を取りやすい場合がある

弊社で東京ゼロエミ住宅のご相談を受けていると、水準Bは設計上比較しやすい位置にあります。
水準Cより断熱・設備性能を高くしたい一方、水準Aまで引き上げるとサッシや断熱、設備の仕様変更が大きくなる案件では、水準Bが選択肢になります。

特に現在の住宅仕様がすでにUA値0.46付近にある場合、水準Bへの対応は比較的検討しやすくなります。逆に標準仕様がUA値0.60に近い場合は、サッシや断熱材のグレードを含めて調整が必要になります。

ここで大切なのは、計算前から水準Bが一番コストパフォーマンスが良いと決めつけないことです。住宅形状や標準仕様によって、水準Aまでの距離も、水準Bまでの距離も変わります。

そのため弊社では、水準が決まっていない案件については、まず現在の設計仕様でUA値・BEI_ZEを確認し、「ほぼ水準Aまで来ているのか」「水準Bなら少しの変更で届くのか」「水準Cが現実的なのか」を見てから決める方法をおすすめしています。

水準Bを狙うなら設備仕様を最後まで未定にしない

設計者から省エネ計算をご依頼いただく際、断熱材と窓は決まっているものの、エアコン、換気、給湯設備が「未定」ということがあります。

UA値だけであれば外皮仕様が決まれば計算できますが、水準Bの正式な適合確認にはBEI_ZEも必要です。そのため設備仕様が決まらないと最終的な水準判定ができません。

特に給湯設備は一次エネルギー消費量への影響が比較的大きく、どの機器を採用するかによって結果が変わることがあります。

東京ゼロエミ住宅の水準Bを取得する予定であれば、確認申請や設計確認の直前まで設備機種をすべて未定にするのではなく、少なくとも計算に使用する性能条件は早めに決めておく方がスムーズです。

正式なメーカー・型番まで確定していない段階でも、仮仕様で一度計算することはできます。実施設計途中で概算計算を行い、水準Bへ十分な余裕があるかを確認したうえで、正式仕様に差し替える方法もあります。

水準Bは実施設計途中で一度計算するのがおすすめ

水準Bを取得すると決めている場合も、設計確認申請の直前まで省エネ計算を待つ必要はありません。
むしろ平面・立面・断面がおおむね決まり、断熱材とサッシの方向性が見えたところで一度外皮計算を行い、その後設備仕様が見えてきた段階でBEI_ZEを確認する方が進めやすくなります。

例えば申請直前に計算してUA値0.48だった場合、そこからサッシや断熱材を変更することになります。建具表や矩計図、仕上表、見積もりがすでに完成していれば、修正範囲は広くなります。

一方、実施設計途中で0.48と分かれば、「この窓だけ性能を上げよう」「天井の断熱を少し強化しよう」と比較的軽い変更で調整できます。

水準Bは水準Aほど基準が厳しくありませんが、性能規定での評価が必要という点は同じです。省エネ計算を申請書類作成の最後の作業にするのではなく、設計途中の仕様確認として使う方が手戻りを減らせます。

計算結果と申請図面を一致させる

水準BでUA値0.46以下、BEI_ZE0.60以下をクリアしていても、それだけで設計確認審査が終わるわけではありません。計算に使用した断熱材・窓・設備などが、申請する設計図書にも反映されている必要があります。

実務では、計算途中でサッシ性能を変更して基準をクリアしたものの、建具表が旧仕様のままになっていることがあります。断熱材を変更したのに矩計図へ反映されていない、給湯器を変えたのに設備表は以前の型番というケースもあります。

弊社で申請図書を作成するときも、この整合確認にはかなり気を使います。省エネ計算上の数値だけが正しくても、審査担当者が図面からその根拠を確認できなければ質疑になります。

水準Bを取得する場合は、「計算をクリアする」と「その仕様を図面へ反映する」をセットで考えることが重要です。

設計確認後の仕様変更にも注意する

設計確認書が交付された後、工事中に断熱材、サッシ、給湯器、空調設備などが変更になることがあります。
東京ゼロエミ住宅では、最終的に設計確認を受けた内容どおりに施工されていることを工事完了検査で確認します。そのため、認証に関係する仕様を変更する場合は、東京ゼロエミ住宅の性能へ影響しないか確認する必要があります。

水準Bが基準ぎりぎりの案件で、現場判断によって少し性能の低いサッシや設備へ変更すれば、UA値0.46やBEI_ZE0.60を超えてしまう可能性があります。

「同等品だから大丈夫」と判断する前に、施工前に計算担当や申請担当へ確認しておく方が安全です。変更内容によっては設計変更確認審査が必要になることもあります。

東京ゼロエミ住宅「水準B」は水準Cより高性能、水準Aより取り組みやすい

東京ゼロエミ住宅の水準Bで設計者がまず押さえておきたい基準は、UA値0.46以下、戸建住宅でBEI_ZE0.60以下、集合住宅等でBEI_ZE0.65以下です。水準Cより高い断熱・設備性能が必要で、水準Aよりは基準が緩やかですが、水準Bは仕様規定では取得できないため、案件ごとの性能計算が必要になります。

設計実務では、水準Bという名称そのものより、現在の住宅仕様が各基準からどの位置にあるかを見ることが重要です。UA値0.46に近いのか、水準Aの0.35にも近いのかによって、選ぶべき仕様は変わります。

また、外皮だけを水準Bへ合わせても、BEI_ZEが基準を超えていれば適合できません。断熱、窓、空調、換気、給湯などを一つの住宅として確認し、実施設計途中で計算結果を設計へ戻していく方が、申請直前の手戻りを防げます。

東京ゼロエミ住宅「水準B」の省エネ計算・申請代行をご相談ください

東京ゼロエミ住宅の水準Bを検討しているものの、「現在の仕様でUA値0.46以下になるか分からない」「水準Aまで上げるべきか迷っている」「BEI_ZE0.60を満たすためにどの設備を見直せばよいか分からない」といった段階でもご相談いただけます。

当社では、東京ゼロエミ住宅の省エネ計算をはじめ、水準A・B・Cの性能確認、基準を満たすための仕様検討、設計確認に必要な申請図書の作成まで対応しています。すでに設計が進んでいる案件についても、現在の図面・断熱仕様・設備条件を確認し、どの水準まで狙えるのか整理することができます。

特に水準B・Aは性能計算が必要になるため、設計確認直前に初めて計算するより、断熱・サッシ・設備を決める段階で一度確認しておく方が変更を減らせます。「まず現在の仕様がA・B・Cのどこに該当するか知りたい」「省エネ計算だけ依頼したい」というご相談でも問題ありません。 東京ゼロエミ住宅を計画している設計事務所・工務店の方は、現在お持ちの図面からお気軽にご相談ください。

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