狭小住宅でも東京ゼロエミ住宅にできる?太陽光・屋根面積の要件を解説

2026.10.16 東京ゼロエミ住宅

このコラムをざっくり解説

狭小住宅でも、東京ゼロエミ住宅の認証を取得することは可能です。現在の東京ゼロエミ住宅では太陽光発電設備などの再生可能エネルギー利用設備が原則として認証要件になっていますが、屋根面積が狭く物理的に設置が難しい住宅には例外があります。判断では延べ面積ではなく、陸屋根または南を含む東から西向きの屋根の水平投影面積を確認します。一定の屋根面積条件を満たせば、太陽光発電設備を設置しなくても認証を取得できる場合があります。ただし、断熱性能や設備の省エネ性能など、水準A・B・Cそれぞれの認証基準は別途満たす必要があります。

狭小住宅でも東京ゼロエミ住宅にはできます

弊社へ東京ゼロエミ住宅のご相談をいただく中で、「3階建ての狭小住宅なので太陽光が載りません」「屋根が小さいので東京ゼロエミ住宅は対象外ですよね」と聞かれることがあります。ここは最初にお伝えしたいのですが、屋根が小さいからといって東京ゼロエミ住宅を諦める必要はありません。

現在の東京ゼロエミ住宅では、水準A・B・Cそれぞれの断熱性能・省エネ性能に加え、原則として太陽光発電設備などの再生可能エネルギー利用設備を設置することが認証要件になっています。ただし、東京都内には狭小敷地や3階建て住宅も多いため、屋根面積が小さく再エネ設備の設置が難しい住宅については例外が設けられています。

弊社でも狭小住宅の案件では、最初から「太陽光が載るか、載らないか」だけで判断せず、まず屋根伏図を確認します。そのうえで、太陽光設備を設置する住宅として進めるのか、屋根面積による再エネ設備の適用除外として進められるのかを整理しています。

「狭小住宅だから太陽光不要」とは判断できません

ここは実務で間違いやすいところです。敷地面積が30㎡、40㎡だから太陽光不要、延べ床面積が80㎡以下だから適用除外、といった基準ではありません。東京ゼロエミ住宅で確認するのは、太陽光設備の設置に利用できる南面等屋根の水平投影面積です。

つまり、狭小住宅かどうかを感覚的に判断するのではなく、実際の屋根形状を見ます。同じ延べ床面積の住宅でも、総2階の切妻屋根と、道路斜線・北側斜線などによって屋根が細かく分かれた3階建て住宅では結果が変わることがあります。

弊社へ「この住宅は太陽光なしで申請できますか」とお問い合わせいただいた場合も、住所や敷地面積だけでは判断していません。配置図・立面図・屋根伏図などを確認したうえで、対象となる屋根の方位と水平投影面積を見ています。

太陽光設備が不要になる屋根面積の目安

現在の基準では、再エネ設備の設置要件を適用しない住宅として判断する際、最も大きい南面等屋根と、2番目に大きい南面等屋根の面積を確認します。

確認する屋根水平投影面積
最も大きい南面等屋根20㎡未満
2番目に大きい南面等屋根10㎡未満

例えば対象となる屋根が1面だけで19㎡であれば、屋根面積による適用除外として扱える可能性があります。対象となる屋根が2面あり、最大が18㎡、2番目が8㎡の場合も同様です。一方で、最大が18㎡でも2番目が12㎡ある場合は、この条件だけを見ると適用除外にはなりません。

ここで注意したいのが、確認するのは屋根の実面積ではなく水平投影面積という点です。勾配屋根の実面積が20㎡を超えていても、水平投影すると20㎡未満になる場合があります。申請ではこの面積が確認できるように屋根伏図を作成します。

北側の屋根まで全部足して判断するわけではありません

「屋根全体では30㎡以上あるので太陽光が必要ですよね」と聞かれることもありますが、屋根全体を単純に合計するわけではありません。対象になるのは、陸屋根や、南を含む東から西向きまでの一定の屋根です。

例えば切妻屋根で南側15㎡、北側15㎡だったとしても、「合計30㎡だから20㎡以上」という判断にはなりません。どの屋根が制度上の対象となる南面等屋根なのかを整理して、その水平投影面積を確認します。

東京23区の狭小住宅では、道路斜線、高度地区、北側斜線などによって屋根が複雑になることもあります。設計者から見ると小さな屋根がいくつもあるような住宅でも、東京ゼロエミ住宅のルールに当てはめると対象屋根と対象外の屋根が分かれます。そのため、設計確認の直前ではなく、屋根形状が決まってきた段階で一度確認しておくのがおすすめです。

適用除外になれば太陽光の代わりに地中熱を入れる必要もありません

「太陽光が載らない場合、代わりに太陽熱や地中熱を入れなければいけませんか?」という質問もよくあります。

屋根が狭小で再エネ利用設備の設置要件そのものが適用されない住宅に該当すれば、太陽光発電だけでなく、太陽熱や地中熱などを代わりに設置しなければならないわけではありません。

つまり、屋根条件によって適用除外となる場合は、再エネ設備なしでも、断熱性能・設備の省エネ性能などその他の認証条件を満たせば東京ゼロエミ住宅を取得できます。

ここは「太陽光が載らない=認証できない」と誤解されやすいところなので、狭小住宅では最初に屋根面積を確認しておく価値があります。

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適用除外を使う場合は屋根伏図が重要です

再エネ設備の適用除外で進める場合、「狭小住宅なので太陽光なし」と申請書に書くだけでは足りません。認証審査機関が屋根面積を確認できるように、屋根伏図へ必要事項を記載します。

弊社で申請図書を作成する際には、屋根伏図へ方位、屋根勾配、対象となる南面等屋根、水平投影面積などを記載し、なぜ再エネ設備の設置要件が適用されないのか確認できる状態にします。

通常の確認申請用屋根伏図では、東京ゼロエミ住宅の審査に必要な面積まで記載されていないことがあります。そのため、建築確認用の図面をそのまま提出するのではなく、認証審査に必要な情報を追加することがあります。

狭小住宅の場合、太陽光設備そのものより、この屋根面積の整理で申請準備に時間がかかることもあります。

適用除外でも太陽光を設置して構いません

屋根面積の条件によって再エネ設備の設置義務がなくなったからといって、太陽光を載せてはいけないわけではありません。例えば屋根が19㎡で適用除外になる住宅でも、実際には数枚の太陽光パネルを設置できる場合があります。

この場合、太陽光を設置するかどうかは住宅の計画に合わせて判断できます。ただし、東京ゼロエミ住宅の認証設備として扱うのであれば、使用する太陽光発電設備についても認証要件を満たしているか確認する必要があります。

狭小住宅では「4kW載らないから意味がない」と考える方もいますが、東京ゼロエミ住宅の認証では、単純に大容量の太陽光を載せなければ認証できないという制度ではありません。設置できる屋根面積と住宅全体の計画を見ながら判断します。

太陽光を設置する場合は製品選びにも注意します

東京ゼロエミ住宅では、太陽光パネルなら何でも認証対象になるというわけではありません。太陽電池モジュールやパワーコンディショナーなどについて、制度上の技術要件を確認する必要があります。

弊社で申請を行う場合も、太陽光発電設備を採用する案件では、メーカー、型番、モジュール出力、パワーコンディショナーなどの資料を確認します。

設計初期では「太陽光あり」だけ決めていて、製品は工事直前に決めるという案件もありますが、東京ゼロエミ住宅では申請図書との整合も必要になります。設計確認時と実際の施工で機器が変わる場合、変更内容によっては認証への影響を確認する必要があります。
そのため、少なくとも設計確認へ進む段階では、採用予定の太陽光設備をある程度固めておく方が進めやすくなります。

狭小住宅では屋根形状を決める段階から確認するのがおすすめです

弊社としては、東京ゼロエミ住宅を予定している狭小住宅であれば、設計確認申請の直前ではなく、屋根形状が決まる段階で一度ご相談いただくのがおすすめです。

例えば最大の南面等屋根が19㎡なのか21㎡なのかで、再エネ設備の扱いが変わる可能性があります。21㎡だった場合、そこから太陽光設備を検討することになれば、パネル配置、配線、パワーコンディショナーの位置なども決めなければなりません。

もちろん、東京ゼロエミ住宅のために不自然に屋根を小さくするべきという話ではありません。建築計画として必要な屋根形状を決め、その計画で太陽光設備が必要なのか、適用除外になるのかを早めに確認するという考え方です。

設計がすべて終わってから判断するより、基本設計から実施設計の間で一度確認しておく方が、その後の図面修正を減らせます。

太陽光が不要でも水準A・B・Cの性能基準は満たす必要があります

再エネ設備の適用除外となった場合でも、東京ゼロエミ住宅のその他の基準まで免除されるわけではありません。
例えば性能規定で取得する場合、水準AはUA値0.35以下、水準Bは0.46以下、水準Cは0.60以下など、水準ごとに断熱性能の基準があります。一次エネルギー消費性能についても、それぞれBEI_ZEの基準を満たす必要があります。

つまり「屋根が小さいから太陽光なしで認証できる」という話と、「省エネ性能を満たさなくてもよい」という話は別です。
弊社では狭小住宅の場合も、屋根面積の確認と並行して外皮性能・一次エネルギー消費量を計算し、水準A・B・Cのどこまで取得できるか確認しています。

狭小住宅だからUA値を簡単にクリアできるとも限りません

住宅が小さければUA値も良くなりそうに見えますが、実際は建物形状や窓の割合によって結果が変わります。
東京都内の狭小住宅では、採光を取るために窓面積が大きくなったり、3階建てで外壁面積が多くなったりすることがあります。断熱材の仕様が良くても、開口部の割合によっては想定よりUA値が下がらないこともあります。

そのため「狭小住宅だから水準Aでも簡単に取れる」「ZEH仕様だから水準Cは大丈夫」と決めず、実際の図面から計算することをおすすめしています。

設計がある程度進んでいれば、平面図・立面図・矩計図・建具表などから現在のUA値やBEI_ZEを確認できます。まだ水準を決めていない段階でも、「この仕様なら水準Bまではいけそう」「水準Aにするなら窓を少し見直した方がよい」といった判断材料を出すことができます。

設計確認直前に太陽光の要否を判断すると手戻りが増えます

狭小住宅の東京ゼロエミ住宅申請で避けたいのが、設計確認の直前になって初めて屋根面積を確認することです。
「太陽光は載らないと思っていたので設備計画をしていなかったが、調べたら適用除外にならなかった」という場合、そこから太陽光パネル、パワーコンディショナー、配線、設置位置などを決める必要があります。逆に、太陽光を載せる前提で設計していたものの、実際には適用除外にできる住宅だったというケースもあります。

東京ゼロエミ住宅の申請では、省エネ計算だけでなく、屋根・設備・申請図書をまとめて考えることが重要です。弊社では図面を確認する際、断熱や設備だけを見るのではなく、屋根伏図もあわせて確認し、再エネ設備の扱いを早めに整理しています。

「太陽光が載らないから無理」と判断する前にご相談ください

狭小住宅でも、屋根面積の条件によっては再エネ設備の設置要件が適用されず、太陽光発電設備なしで東京ゼロエミ住宅の認証を取得できる場合があります。

大切なのは、敷地面積や建物の大きさだけで判断しないことです。実際の屋根伏図から対象となる屋根を確認し、水平投影面積を算定したうえで判断します。

また、再エネ設備が不要になった場合でも、水準A・B・Cそれぞれの断熱性能・設備の省エネ性能は満たす必要があります。そのため、狭小住宅の東京ゼロエミ住宅では、屋根面積の確認と省エネ計算をセットで進めるのが一番分かりやすい方法です。

狭小住宅の東京ゼロエミ住宅・省エネ計算もご相談ください

「屋根が小さいので太陽光を載せられない」「現在の屋根形状で再エネ設備の適用除外になるか確認したい」「太陽光なしでも東京ゼロエミ住宅を取得できるか知りたい」といった段階でもご相談いただけます。

弊社では、東京ゼロエミ住宅の水準A・B・Cに対応した省エネ計算、屋根面積による再エネ設備要件の確認、基準を満たすための仕様検討、設計確認に必要な申請図書の作成まで対応しています。すでに実施設計が進んでいる狭小住宅や3階建て住宅についても、現在の図面から確認できます。

「狭小住宅だから東京ゼロエミ住宅は難しい」と判断する前に、まず屋根伏図を確認してみてください。 太陽光設備の要否だけ確認したい場合や、現在の仕様で水準A・B・Cのどこまで取得できるか知りたい場合でも問題ありません。東京ゼロエミ住宅の省エネ計算・申請について、お気軽にご相談ください。

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