このコラムをざっくり解説
東京ゼロエミ住宅の認証に必要な外皮性能・一次エネルギー消費性能の計算や、設計確認審査に必要な申請書類の作成・提出手続きは、専門会社へ外注することができます。東京都の認証制度でも、建築主が設計確認申請に係る手続きを第三者へ依頼できる仕組みが設けられています。2026年度の東京ゼロエミ住宅は水準C・B・Aの3段階で、上位水準ほどUA値や設備の省エネ性能に高い基準が設定されています。また、原則として再生可能エネルギー利用設備の設置も必要です。設計事務所が計算・申請を外注すれば、制度確認、計算、図書整合、審査対応にかかる社内工数を減らしながら、みらいエコ住宅2026など関連制度との併用も検討しやすくなります。
東京ゼロエミ住宅の計算・申請は外注できます
東京ゼロエミ住宅の案件をご相談いただく際、「計算だけお願いできますか?」「認証申請までまとめて外注できますか?」という質問があります。結論からいえば、どちらも可能です。
東京ゼロエミ住宅の認証を受けるためには、建築主が東京都に登録された認証審査機関へ設計確認審査を申請し、認証基準への適合について審査を受けます。一方、東京都の認証要綱では、建築主が設計確認申請に関する手続きを第三者へ依頼できる「手続代行者」の仕組みが設けられています。東京都の手引でも、各申請手続きは建築主が行うことを基本としながら、第三者へ代行を依頼できることが明記されています。
そのため、設計事務所がすべての計算や申請資料作成を社内で行う必要はありません。外皮計算、一次エネルギー消費量計算、認証水準の確認、設計確認申請書類の作成、審査機関とのやり取りなどを必要に応じて専門会社へ切り出すことができます。
特に東京ゼロエミ住宅を頻繁に扱わない設計事務所の場合、案件が発生するたびに最新の制度や様式、計算条件を調べるより、専門会社へ外注した方が効率的なケースがあります。
未来エコ住宅、東京ゼロエミ住宅の申請は弊社の専門スタッフにお任せください。詳しい図面がなくてもお見積もりをご提出させていただきます。まずはお気軽にお見積もりから始めてください。
東京ゼロエミ住宅では何を計算する?
東京ゼロエミ住宅では、主に住宅の断熱性能と設備の省エネルギー性能を確認します。
2026年時点の東京ゼロエミ住宅は、水準C、水準B、水準Aの3段階です。東京都は、最上位の水準Aについて、国が推進するZEH水準を大きく上回る断熱性能と、建築物省エネ法上の省エネ基準から45%の削減を目指す水準として位置付けています。
性能規定で評価する場合の代表的な基準を整理すると、次のようになります。
| 水準 | UA値 | 戸建住宅のBEIZE | 集合住宅等のBEIZE |
|---|---|---|---|
| 水準C | 0.60以下 | 0.70以下 | 0.70以下 |
| 水準B | 0.46以下 | 0.60以下 | 0.65以下 |
| 水準A | 0.35以下 | 0.55以下 | 0.60以下 |
水準Cについては、一定条件のもとで省エネ計算を用いない仕様規定による確認方法も用意されています。一方、水準B・Aは性能規定による確認が基本となります。
ここで設計者が注意したいのは、「UA値だけクリアすればよい」という制度ではないことです。断熱性能だけでなく、冷暖房、給湯、照明など設備側の要件も確認する必要があります。また、2024年10月以降の新基準では、原則として太陽光発電などの再生可能エネルギー利用設備の設置も認証要件に加わっています。屋根面積が小さいなど物理的に設置が困難な住宅には例外があります。
つまり、東京ゼロエミ住宅の計算は単なる外皮計算ではなく、住宅全体の断熱仕様・設備仕様・再エネ計画を横断して確認する業務です。
計算だけを専門会社へ外注することもできます
設計事務所の中には、「認証申請は自社でできるので計算部分だけ任せたい」という会社もあります。このような外注方法でも問題ありません。
例えば平面図、立面図、断面図、矩計図、建具表、断熱仕様、設備仕様などを専門会社へ支給し、UA値や一次エネルギー消費性能を計算してもらい、その結果を受け取って社内で申請を進める方法です。
特に水準Bや水準Aを狙う場合には、計算結果を見ながら断熱仕様や設備仕様を調整することがあります。最初の計算で目標値に届かなければ、窓性能を上げる、断熱材を見直す、給湯設備や冷暖房設備を変更するといった検討が必要です。
この部分を専門会社へ依頼すれば、「あとUA値をどの程度下げればよいか」「BEIを改善するにはどこを変えるのが効率的か」といった検討もしやすくなります。一方、水準Cで仕様規定を利用できる住宅では、必ずしも同じ計算が必要とは限りません。案件条件に応じて、性能規定と仕様規定のどちらで進める方が適切かを確認することも外注先選びでは重要になります。
計算から設計確認申請までまとめて外注することもできます
社内の負担をさらに減らしたい場合には、計算から設計確認審査の申請準備までまとめて外注することもできます。
東京ゼロエミ住宅の認証手続きでは、まず認証事項に係る工事に着手する前に設計確認審査を受けます。審査の結果、基準への適合が確認されると「東京ゼロエミ住宅設計確認書」が交付されます。その後、必要に応じて設計変更確認を行い、工事完了後には工事完了検査を申請して認証を受ける流れです。2026年4月1日以降の申請については、令和8年4月1日施行の申請様式を使用する必要があります。
したがって、東京ゼロエミ住宅の代行業務は、単に「省エネ計算書を作る仕事」だけではありません。
| 外注できる業務 | 主な内容 |
|---|---|
| 外皮計算 | UA値、断熱仕様、開口部性能等の確認 |
| 一次エネルギー計算 | 冷暖房、換気、給湯、照明等の確認 |
| 水準判定 | 水準C・B・Aのどこへ適合するか確認 |
| 再エネ要件確認 | 太陽光発電設備等の設置条件を確認 |
| 必要図書整理 | 計算根拠となる図面・仕様書を確認 |
| 設計確認申請資料 | 認証審査機関へ提出する書類を作成 |
| 審査対応 | 審査機関からの確認事項・補正へ対応 |
| 設計変更対応 | 設備・断熱仕様等の変更に伴う再計算・申請 |
| 完了時対応 | 工事完了検査に必要な資料整理 |
どこまで外注するかは会社ごとに変えられます。計算だけ、申請書類だけ、あるいは計算から審査対応までまとめて依頼するという使い方ができます。
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設計事務所が代行会社を使う最大のメリットは「制度を調べる時間」を減らせること
東京ゼロエミ住宅を外注するメリットとして、計算作業の削減をイメージする方が多いと思います。しかし、私たちはそれ以上に大きいのが「制度を調べる時間を減らせること」だと考えています。
東京ゼロエミ住宅は東京都独自の制度です。国のZEH水準や省エネ基準と共通する部分はありますが、認証水準、再エネ要件、申請様式、認証審査の手続きなど独自のルールがあります。
さらに制度は固定されたままではありません。2026年4月1日には指針・申請様式の一部が改正されており、2026年10月1日以降に設計確認審査を申請する案件では、助成対象となる蓄電池システムの要件も変更されます。2026年9月19日時点では、10月1日以降の申請について、SIIの令和8年度登録済製品一覧に登録された蓄電池システムが助成対象となる予定です。
東京ゼロエミ住宅を年に1件か2件しか扱わない設計者が、こうした変更を毎回追いかけるのはかなりの負担です。
専門会社へ依頼することで、設計者は制度解釈や申請様式の確認に使っていた時間を、本来の設計業務へ戻すことができます。
水準A・Bを狙う場合は設計初期から計算した方がいい
東京ゼロエミ住宅の外注を検討する場合、「確認申請図面が完成してから計算会社へ依頼すればよい」と考える方もいるかもしれません。しかし、特に水準Aや水準Bを狙う場合には、できるだけ早い段階で計算することをおすすめします。
例えば、水準AはUA値0.35以下という高い断熱性能が求められます。設計がほぼ確定してから計算した結果、UA値が0.40だった場合、窓の仕様や断熱材、開口面積などを変更しなければならない可能性があります。一次エネルギー消費性能についても同様で、給湯設備や冷暖房設備を変更することで設計や見積もりへ影響が出ます。
そのため、基本設計から実施設計の比較的早い段階で一度計算し、目標水準に対して余裕があるか確認しておく方が安全です。
特に水準Aを目標とする案件では、「最終図面ができたら採点する」というより、「設計途中で性能を確認しながら水準Aへ寄せていく」という考え方の方が手戻りを減らしやすくなります。
集合住宅では住戸ごとの確認が必要になります
東京ゼロエミ住宅は戸建住宅だけの制度ではありません。都内の新築集合住宅等も対象です。
集合住宅の場合は、単位住戸ごとに認証水準を確認します。東京都のQ&Aでは、集合住宅等について全住戸が水準C以上であることが必要で、そのうえで住戸ごとに適合する水準A・B・Cを確認する仕組みとなっています。
つまり、30戸のマンションだから1回計算すれば終わり、という単純な話ではありません。住戸タイプ、方位、外皮条件などによって計算条件が変わるため、戸数が多くなるほど作業量も増えます。
こうした共同住宅案件では、計算作業そのものだけでなく、各住戸の入力条件整理、図面との整合、設計変更時の更新管理まで含めて外注するメリットが大きくなります。
東京ゼロエミ住宅の助成金を使う場合は認証と助成申請を分けて考える
東京ゼロエミ住宅には「認証制度」と「助成制度」があります。助成金を受けるためには、東京ゼロエミ住宅として設計確認・認証を受けたうえで、別途助成金の申請要件を満たす必要があります。
令和8年度の東京ゼロエミ住宅普及促進事業では、都内の床面積合計2,000㎡未満の新築住宅が対象で、住宅建設費に対する助成額は戸建住宅の場合、水準Cが40万円、水準Bが160万円、水準Aが240万円。集合住宅等では水準Cが30万円、水準Bが130万円、水準Aが200万円です。
したがって、設計確認を取得しただけで助成金が自動的に振り込まれるわけではありません。
一方、助成金の申請についても手続代行者を介して行える仕組みがあります。2026年度の東京都環境公社の案内でも、手続代行者を利用した申請や、手続代行者に関する誓約書などが整備されています。
代行会社へ依頼するときには、「東京ゼロエミ住宅の認証申請までなのか」「助成金申請まで対応するのか」を確認しておくと安心です。
みらいエコ住宅2026と一緒に検討する案件も増えています
東京ゼロエミ住宅専門の案件であっても、2026年は国の「みらいエコ住宅2026事業」と一緒に相談されるケースがあります。みらいエコ住宅2026事業の新築では、GX志向型住宅、長期優良住宅、ZEH水準住宅などが補助対象となっています。ZEH水準住宅の場合、外皮性能について断熱等性能等級5以上、一次エネルギー消費量の削減率20%以上などの住宅性能が求められます。
東京ゼロエミ住宅とは別制度ですが、どちらも住宅の外皮性能・省エネルギー性能を扱うため、計算やBELS等の性能証明に使用する設計情報には重なる部分があります。
そのため、東京ゼロエミ住宅とみらいエコ住宅2026を両方検討する案件では、それぞれを別々に考えるよりも、設計初期に「どの補助制度を利用するのか」「どの住宅性能を目標とするのか」を整理してから計算を始める方が効率的です。
ただし、両制度の要件・申請主体・申請時期・提出書類は同じではありません。東京ゼロエミ住宅に適合したから自動的にみらいエコ住宅2026の補助対象になる、あるいはその逆になるというものではないため、それぞれの要件確認が必要です。
代行会社を使うと図面と計算書の不整合も減らしやすくなる
省エネ計算や補助制度の申請で意外と多いのが、計算結果そのものではなく図面との不一致です。
例えば計算では樹脂サッシ+Low-E複層ガラスとしているのに建具表が旧仕様のまま、断熱材厚さを変更したのに矩計図だけ更新されている、給湯器の型番を変更したのに一次エネルギー計算へ反映していない、といったケースです。
東京ゼロエミ住宅でも、計算結果を示すだけではなく、その仕様が設計図書と整合している必要があります。
専門会社へ計算から申請まで任せるメリットの一つは、単に数字を算出するだけでなく、申請に使用する図面・計算結果・設備仕様をまとめて確認してもらえることです。
特に複数人が設計に関わる住宅や集合住宅では、意匠担当者、設備担当者、省エネ計算担当者の間で仕様変更情報が漏れることがあります。申請直前にまとめて整合チェックできる外部担当者がいることで、手戻りを減らしやすくなります。
東京ゼロエミ住宅を外注するときはどこまで任せるかを最初に決める
代行会社を選ぶときには、金額だけではなく業務範囲を確認してください。
「東京ゼロエミ住宅計算○万円」と書かれていても、UA値計算だけなのか、一次エネルギー計算までなのか、設計確認申請資料まで作成するのか、審査機関からの質疑対応まで含まれるのかによって、設計事務所に残る仕事は大きく違います。
| 外注パターン | 向いている会社 |
|---|---|
| 計算のみ | 認証申請経験はあるが計算担当者が不足している |
| 計算+申請書類 | 提出は自社で行いたい |
| 計算+設計確認申請 | 認証手続きをまとめて外へ出したい |
| 計算+申請+質疑対応 | 社内の申請業務をできるだけ減らしたい |
| 認証+助成金関連まで相談 | 東京ゼロエミ住宅全体を一括して整理したい |
私たちは、「全部外注しなければならない」とは考えていません。社内でできる部分はそのまま行い、経験が少ない部分や時間のかかる部分だけを切り出す使い方でも問題ありません。
重要なのは、発注時に成果物と業務範囲を明確にすることです。
東京ゼロエミ住宅・みらいエコ住宅の計算・申請代行をご相談ください
当サイトでは、東京ゼロエミ住宅やみらいエコ住宅2026に関する計算・申請支援を行っています。東京ゼロエミ住宅の水準A・B・Cに対応する外皮計算・一次エネルギー消費量計算をはじめ、設計確認申請に必要な資料整理、図面との整合確認、認証審査機関への申請支援、質疑対応など、案件の状況に合わせて必要な業務をご相談いただけます。
「東京ゼロエミ住宅を初めて申請するので進め方が分からない」「水準Aを狙いたいが現在の仕様で基準を満たすか確認したい」「共同住宅で住戸数が多く計算まで手が回らない」「東京ゼロエミ住宅とみらいエコ住宅2026を同時に検討したい」「認証申請までまとめて外注したい」という設計事務所・工務店の方は、まず現在お持ちの図面をお送りください。
建物所在地、戸建・共同住宅の別、延べ面積・住戸数、希望する東京ゼロエミ住宅の水準、利用予定の補助制度、希望納期などを確認し、必要な計算・申請業務を整理したうえでお見積もりいたします。補助制度は申請時期や予算状況によって受付条件が変わるため、利用を検討している場合は設計初期の段階からご相談いただくことをおすすめします。
株式会社インデックスジャパン